2013.03.31
毎日、同じ量、同じ食事成分を食べなくてはいけないか?(私見)
発熱等で受診し、診察終了後、保護者から質問を受けることがあります。ドアノブインフォメ-ションといって小児科医がある意味で最も大切にしている時間です。
その中に、「1-3歳頃のお子さん」を持つお母さんから、「この子はこの2-3日ほとんど食べてません!でも元気です」とか「この子は最近お米ばかり食べて、他のおかずは何も食べてくれません」とか「最近離乳食を食べてくれません。」とか、食事に関する質問を受けることがあります。短い外来の時間に、お母さんの心配をなんとか取り除き、納得して頂き、そして大きな間違いが無いように説明しなくはならないのが小児科医です。
「(1)今元気であれば、(2)それが長期にならなければ大丈夫!(3)でも注意して行きましょう」と言う3つの事を、短時間にお伝えしなくてはなりません。
こんなとき先ず一般論として以下のようなお話をします。
「人類20万年の歴史の中で、毎日の食事を、炭水化物50-60%、タンパク質20-30%脂質20-30%、や1-2歳一日量1050-1200kcal/日とか、必要ビタミン何mg/日云々といった食事をしたのは、ここほんの50年弱しかありません。それまで19万9千9百50年は、ある日は、芋だけ、ある日はイノシシの肉だけ、またある日は魚だけ、恵まれた日は果物と肉と芋、そんな感じで生き延びてきたヒトの子孫が我々であり、その頃の人と我々現代人を作る遺伝子(DNA)は全く一緒です」と大きく出ます。
そして続きます、「農業が始まったのは約1万年前。その頃から穀類を中心にカロリーをとり、副次的に魚、野菜,肉等を食べていました。ある本によると、実際江戸時代では、我々のほんの4-5代前のご先祖ですが、とにかくお米を沢山食べ、タンパク質もお米からを摂っていました。その分接摂取カロリーが増えますが、我々より過酷な肉体労働でそれを消費し、バランスを保っていたそうです。つまり我々の体には、ある時は魚のみ、ある時は芋のみというような食事でも生命を(短期間であれば)維持できるシステムが入っています。勿論、昔と比べ寿命が延びたのは、…江戸時代の平均寿命は諸説ありますが30歳前後…、栄養の改善と感染症のコントロールとですから、バランスの良い食事が必要であることは言うまでもありません。」と。
そしてタタミカケルように「栄養学が未発達の時代、脚気など栄養過誤が原因の病気がありましたが、それらは長期に渡る欠乏症です。現代の社会の食料供給状態からみて、僕が診ているお子さんのお母さんは心配ありません。」「このようなお子さんの場合、摂取エネルギーを1日で見てみるとバランスが崩れていても、1週間平均してみたら結構バランスよく食べています。どうしても心配なら、食べたものをみんな日記のように付けて持ってきてください。当院の非常勤栄養士に観てもらいます。」 こんな感じで外来で説明しています。
そして最後に「子どもは、食事が嫌なのではなく、無理矢理食べさせようとするお母さんが嫌な場合もありますよ。」と付け加えておきます。 軽く読み流してくださいネ。