2013.08.15
(1)制服とネクタイ
人のプライバシーに接する職業には、接し方に二つ型があると考えています。
一つは制服(我々なら白衣)を直用する事で自分のプライバシーを消し、公人として、組織人として、専門職として相手に接する=(プライバシー触れる)型。この場合、相手は一個人ではなく組織と接することになり、信頼度は組織によって保障される事になります。お役所や公共交通機関の制服が是に相当します。
もう一つの型は、相手に敬意を評して接する型です。我々がネクタイをする時はオシャレもありますが、式典や目上の人に会う場合に着用するように、相手に敬意を評するために付けます。銀行やホテル等がこれに相当します。当院では、診察時はネクタイを着用するか白衣にしていますが、上記の様な理由に因ります。個人的な思いですが、見ず知らずの私服を着た人に自分のプライバシーを話す気にはなりません。夏期にネクタイを外す事を強制する職域もあるそうですが、ネクタイは公序良俗に反するわけでもありませんし、表現の自由の範囲内と考えています。ファッションは時代とともに変化しますので、将来、ノ-ネクタイがフォ−マルになればそれに従うつもりです。
(2)「患者様」と「患者さん」
当院では、「患者さん」とお呼びしています。それには理由があります。ホテル、金融機関など一部の職種で「様」で呼ばれることはありますが、普通の日常生活で「上下の人間関係」を示す「様」付けで呼ばれる事はまずありませんし、また使う事もありません。つまりホテルや金融機関の中では、暗黙の了解があります。「この空間の中では、私は貴方を様とお呼びし、上下の人間関係で接しますが、一歩この空間を離れた時は、個人的にお付き合いすることはありませんよ」という了解です。つまり「別の場所で合った時は知らんぷりします」と言う訳です。ある意味で冷たい人間関係を宣言のような気がします。
人は病気の時下僕より、家族や良き隣人の暖かい手による看病を必要とします(引用)。つまり医療者は良き隣人として…小児科なら医者をしている親戚のおじさんくらい…、病を持つ人に接するのがふさわしいと考えています。