2015.02.24
最近本当に便秘で受診される方が増えています。典型例は1週間近く排便がなく、「最後の最後に苦痛にもだえながら、肛門出血を伴って大きな便魂を排出する」というパタ-ンです。子どもは大人と違って、2-3日排便が無くても、その時苦痛が無ければ焦りません。多くは治って行きますが、一部は少年期に入っても継続します。最重症型は高度の便秘から進展した「遺糞症」という病型で、6歳頃に見つかります。直腸に留まる大きな固い便魂のすきまから、柔らかい便汁が肛門から漏れ出て絶えず下着を汚すタイプです。本人の苦痛はもとより、自己イメ-ジの矮小化や友人関係に歪みをもたらす場合があり、我々子どもの便秘を扱う小児科医にとって最も注意している病型です。
なぜ近年こんなに子どもの便秘が増えているかその理由は定かではありませんが、やはり「大人が良い排便習慣がつくような生活や環境を子どもに提供していない」ということだと思います。排便は「ボ-ル投げ」のように大人が子どもに教えることは出来ません。子ども自身が勘所を見つけて排便行動を習得していきます。
排便は自律神経によってコントロ-ルされます。ちなみに体の中で排便を唯一意識でコントロ-ルできるのは外肛門括約筋だけです。
自律神経の未熟な子どもにとって、良い排便習慣を作るのは「規則正しい生活」しかありません。言い換えれば、ある時は朝6時に起き、ある時は12時まで寝るという生活では習慣がつきません。朝起きて朝食後に自然に便魂が直腸に到達し、内肛門括約筋を刺激し、自然な便意になり、その時我慢せず排便するという習慣(この環境は親が整える必要があります)を作ることが重要です。たかがうんこされどうんこです。超音波で直腸を観察しながら排便指導(バイオフィ-ドバック療法)する方法もありますので、習慣性便秘になる前にご相談下さい。