2015.03.03
ちょっと頑張る、ちょっと我慢する。
2-3歳になると、子どもは、褒めて、おだてて、エサでつって(報酬の約束)、又褒めて、励ますと「ちょっと頑張る=勇気を持つ」「ちょっと我慢する=耐える」ができるようになります。ほんの10秒か15秒くらいの間ですが、自分の意志で「頑張ろう」「我慢しょう」という気持ちができてきます。
当院でよく見る風景です。…予防接種の時などに「今日は泣かない」とお母さんと約束して診察室に入ってきて、さあいよいよ診察という段階になると泣いて抵抗する子どもが沢山います。待ち合い室から診察室までのほんの10数秒は、頑張って我慢できた訳です。もう少し大きくなって注射の時も、一瞬で終われば泣かないし暴れませんが、同じ注射(痛さ)でも1-2分以上かかると泣き始めます。以前の一口メモにも子どもの発達は我慢力の発達と書きましたが、子どもの我慢できる時間は最初は10秒くらいから始まる訳です。
我々も昔は子どもだった訳ですが、人は嫌だなと思う事にまず10秒間我慢し、そして年齢とともに少しづつ長くなり、長じて1年、2年、そして一生と、我慢の人生が始まります。
子ども達を診ていて思う事は、この10秒の間に、もう1-2回褒めると(=医学用語でブーストを入れる)、それが15から20秒くらい延長できる印象を持っています。昔から「褒めて育てよ」と言われますが、この「子どもが我慢し頑張っている」この時間に「褒めて育てよ」であり、だだやみくもに褒めても余り意味が無いと思います。ちょっと頑張りちょっと我慢すれば褒めて貰える(報酬がある)という確信を持っている子どもは、どんどんと伸びていくような気がします。その「確信」は周りの大人が保障してやらなくてはなりません。
参考までに、東照公遺訓という徳川家康が残した言葉を紹介しておきます。
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常と思えば不足無し。心に望み起こらば、困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。勝つ事ばかり知りて負くることしらざれば、害その身に至る。おのれを責めて人を責むるな。及ばざるは過ぎたるより勝れり。